日曜日の研修で、紹介した翻訳者の方の、
「知らない単語は聞き取れない、聞き取れない単語は理解できない」
という通訳界の常識の話を書きましたが、まだまだたくさんの学びがありました。
通訳者になるためには帰国子女や留学経験者でないと難しいですか?の問いに、旦那様が生粋の日本人で海外生活経験なしで通訳・翻訳家であるとのこと、
ですから、決して無理ではないですが、その代わりに「本をたくさん読んでください」「多読してください」とおっしゃられていました。
通訳の世界では、他の通訳者がライバルではなく、機械などの自動翻訳機などがライバルとのこと。その際、やはり大切なのは「人と人」のつながりやコミュニケーション。そこで生きてくるのが、様々な国の文化や風習を知っている事(留学等ができればいいが、そうでなければ、本やニュースなど、様々な情報を得ることが大切だと言われていたのを聞いて、受験でも一緒だなと思いました)。ここでも、多読=たくさん本を読むことで、自身の生きる狭い世界観だけでなく、本から得た知識で、価値観を広げて欲しい!とのことでした。
素晴らしいですね。
また、先生のおっしゃられていた、処理能力の速さと、速く読める事を実感した自身の体験談がわかりやすかったです。
「事前に目を通しておく資料はないのですか?」と日本にいて何度も確認したのですが、「ありません」とのこと、
現地について、スタートまであと数時間。
そこで目にしたのは、300ページ以上ある資料の山だったそうです。
「どうして?事前に確認していたのに。。。」「こんなの無理」と言っている時間ももったいないし、プロの仕事じゃない!2名で行っていたので、二人で分担し、1時間で●ページ担当!と決め、かいつまんで内容を把握し、当日の翻訳の仕事をこなしましたとのこと。
この時必要になった力が、速読力=速く読む力でした。
速く読めて、何の意味があるんですか?とよく聞かれますが、上記のような状態で速く読める事は武器であり、重要なところだなという所は、じっくり読めばいいんです。スピード・処理能力が高ければ、それを選ぶことができます。
よく、速く読めたら「読解力がつくんですか?」と言われますが、速く読めるのは野球のピッチャーでいえば「球が速い」だけです。読解力は、「ストライクゾーンに入れる事」、球が速いことと、ストラークゾーンに球を入れることができるのは別の事だけれども、「速い」という事は、それだけで武器になる。
先生のおっしゃられているのは、「速く読めるだけじゃあ意味がない。けど、その能力を活かして、是非、多読してください。たくさんの文化や知識、世界観を効率良く得てください。そしてそのスピードがあれば、必ず苦手意識が克服されているので、やってやろうという気になれます」という事なんだと思います。
また、様々な価値観があっていいんだ。多様な価値観を理解することが大切なのは、一つの価値観や、答えを求めている日本人の賢い子供たちが多く、「正しい、こうでないといけない!という1つの答え」に固執するあまり、ある時心がぽきっと折れてしまう。そんな日本の若者を何人も見てきました。もっと、様々な考え方や世界観を受容することが大切ではないか=それも、子供たちにとっては、「実際の体験の方が良いが、そんなに実体験ばかりがつめるわけではない」ので、本を読みましょう。ということでした。
一方、最初にも戻りますが、「翻訳家・通訳」という言語をつかさどるプロが、最も大切な「英語教育」として、
・英単語と文法はmust。
・特に中3までの英文法をしっかりとやった人と、適当にやった人だと、通訳・翻訳家養成プログラムの1/3を過ぎたあたりから、顕著に実力差が開き始める。
・聞いて、文字におこし、書いて覚えるディクテーションが大切。
・書いたものを見える化して達成感を得ることも大切。
・いつから英語をやった方が良い?とよく聞かれるが言語習得は習慣なので、習慣であれば、できるだけ早くから英語に触れた方が良い。
・どのテキストが良い?とよく聞かれるが、こればかりは、人によるので自分の関心のある本を選ぶこと。
・どのくらい?1日何時間ぐらい英語勉強すべき?
量をこなすしかないよ。時間をかけた分、努力は決して裏切らないよ。←素晴らしい!!
・最小限の努力で、最大限の効果を!と皆さんおっしゃられますが、英語において、それはないと思います。(サッカーの)岡崎選手が言っているように「愚直にやるしかないです」。英語も一緒だと思います。
素晴らしい勉強会でした。僕も、たくさんの学びを得ました。